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CASE STUDY

【コクヨ様事例】顧客データを正しく活用することが、新しいビジネスモデルの創造に繋がる。 クラスター分析から見えてきた、これまで見えていなかったモノとは?

誰もが一度は目にしたことのある『Campus』ブランドのノートでおなじみのコクヨ株式会社。

明治期の創業以来、文房具だけでなく事務機器やオフィス家具など、幅広いビジネスを展開する「KOKUYO」ブランドの商品は、日本国内だけではなく、アジアを中心とした海外でも広く知られています。

中国・ベトナム・インドの他、アジアや欧米などグローバルに活動を展開する同社グローバルステーショナリー事業本部で、マーケティング部門を率いる伍 子駿(う ししゅん)様。MONJUとは、海外でのDM(ダイレクトマーケティング)事業において顧客データの分析やブランディング戦略に関してのパートナーシップを結んでいます。

コクヨ株式会社が海外市場で新しいビジネスモデルを構築するためのパートナーとして、なぜMONJUを選んだのか?その経緯やこれまでの成果、さらには今後の展開などについて、伍部長にお話を伺いました。

(左:コクヨ株式会社 伍 子駿様、右:株式会社MONJU 後迫 彰)

 

ビジネスモデルを変えるためのチャレンジ


おかげさまで『コクヨ』は、日本国内では誰もが知る文具のブランドですが、海外、特にアジアでの知名度も上がってきており、中でも中国では特に学生に支持されるブランドとなっています。アジアでは『国誉(コクヨ)』と表記されるのですが、紙の品質やデザイン、機能性などが高く評価され、「国誉の製品は良いもの」というイメージが根付いてきています。

私たちグローバルマーケティング部では、アジアや欧米を対象に、主にECを使ったDM事業を展開しています。アジアでも『Campus』ノートなどの文房具は中高生に人気がありますが、既存の商品の販売のみならず、今後は英語圏も含めた海外向けの新しいビジネスモデルとして、大人向けに新商品などを開発し、販売していきたいと考えています。

 

製造小売業(SPA)だからできることを実現するために


とはいえ、国内では全国の流通網を活用した卸売りがメインであり、直販に関しては一部の直営店を除くと、公式のオンラインショップによるEC販売のみとなっています。そのためコクヨの商品を買って頂いたエンドユーザーからの生の声を直接聞く機会が乏しく、顧客心理の理解が正しくできていませんでした。

本来なら顧客の声をモノづくりに反映できるのが、コクヨのような製造小売業(SPA)の強みであるはずが、それが十分に機能していなかったがために、顧客起点での製品開発や販売戦略が疎かになっていました。

そこで我々は、顧客視点を徹底的に実現することを目指しました

まずはグローバルECサイトでの通販が主体である海外マーケットの顧客データを解析して、その結果を活かしたビジネスモデルを確立し、それを国内外の事業にフィードバックしていこうと考えました。

つまり私たちグローバルマーケティング部のミッションは、海外ECで集めた顧客データの徹底分析と理解、それを活かした新しいビジネスモデル(DtoC)の構築になります。

 

顧客データを正しく理解できているか?


ECサイトから購入された顧客のデータは、直接弊社のデータベースに蓄積されます。そのデータを見れば、どのような人が、どのようなタイミングで、どんな商品を購入されているのか、またその商品に対する感想や不満の声なども知ることができます。ただ集まってきたそれらの情報を今後の製品開発や販売戦略に活かすためには、膨大なデータから消費者の要望や動向を正しく読み解く力(インサイト)が必要となります

せっかくのデータも、使い方が分からなければ宝の持ち腐れです。そのデータを活かすためには、社内の人間だけではなく、データを客観的に見ることのできる外部のパートナーが必要だと感じました。

そこで私たちは、我々と一緒にこのミッションに取り組んでくれるパートナーを探すことにしました。

海外でのマーケットが標的でしたので、海外のマーケティング会社なども選択肢の一つとして検討はしたのですが、日本の商品の価値や文化的側面を理解している会社が良かったので、国内の企業の中からパートナーを探すことに決めました。

 

コクヨの課題
 
海外向けECサイトで取得した顧客データを正しく解析し、顧客のニーズを把握した上で、求められているモノを製造部門に提案したい。

 

MONJUの掲げる考えに共感


私がMONJUさんのことを知ったのは、数年前にWEBメディアに掲載された記事でした。(※)

「ブランディングの可視化をすることで、顧客理解においての社内共通言語を作り、開発と販売の距離を縮めることで素晴らしい製品を生み出し、それが正しく世に広まっていく世界を創造する」という考えに共感し、まさにこれからの我が社が求めていることだと感じました。

その記事を読んで「この人たちの考えをもっと聞いてみたい」と思いましたが、しかし当時は事業部を立ち上げたばかりでさまざまな仕事に追われており、部内にはまだ新しいことにチャレンジする準備も整っていませんでした。

それから3年ほど経って、部署内もずいぶんと落ち着き、さまざまな課題が見えてきたタイミングで、やっとMONJUさんにお声掛けすることができました。

 

コンサルでもマーケティングでもなく、伴走してくれるパートナーを探して


MONJUの担当者さんと初めてお会いしてお話ししたときに、「やはりもっと早く連絡していれば良かった」と後悔しました。

弊社ではこれまでにも、コンサルティング会社やマーケティング会社との付き合いはありましたが、私たちが求めていたのは「こういうデータがあるからこうしなさい」とか「今はこういうトレンドだから、こういった手法を取るべき」というような、上から外から意見を投げてくるアドバイザーではなく、一緒に課題に取り組み、私たちに寄り添って伴走してくれるパートナーでした。

その日担当者さんに、弊社の抱える課題を説明し、その対応についてのお話を伺って、この人なら本当に伴走してくれるのではと期待しました。

他のコンサル会社でも「御社と伴走します」と言うところはあるのですが、その多くはデータを分析する人と解析する人が分業で、一体誰が伴走してくれているのか顔が見えないんです。

その点MONJUさんの場合は、我々メンバーと一緒に汗をかきながら伴走してくれる人の顔が見えるので安心でしたし、信頼もできました。

 

MONJUの提供するサービスとは
 
独自のブランディング戦略で、生活雑貨の小売業界に革命を起こした「中川政七商店」のブランディングMETHODと、CRM関連のクラウドサービス『Synergy!』を提供し、企業のデジタルマーケティング支援を展開する「シナジーマーケティング」のノウハウ、“日本品質”のシステム開発を行うインド人のエンジニア集団「VeBuln」の技術力を集結し、開発されたシステム(SaaS)で顧客データを深く分析・解析し、企業と消費者の間にあるブランドギャップを浮き彫りにし、それを正しく修正することで、クライアントのブランドサクセスに貢献します。

 

MONJUのクラスター分析から見えてきた、これまでになかった気付き


MONJUさんとパートナーシップを結んでまず驚いたことが、コクヨという会社や製品のことを、ものすごい速度でインプットされていくということでした。もちろん我々からお伝えする情報も多いのですが、おそらく独自にリサーチもされていて、実に短期間で、もしかしたら社員より詳しいんじゃないかというくらい我が社のことを勉強されていました。

MONJUさんが最初に取り組んだのが、ECサイトで蓄積された顧客データの「クラスター分析」でした。

クラスター分析自体私にとって目新しい観点でしたし、それぞれにタグを付けてユーザーを満足させることのできるニーズを汲み取るという手法に感心しました。私たちも同じデータを見ていたはずなのに、これまで見えていなかったモノが見えてきたというか、新たな気付きを得ることができました。

 

仮説の検証だけでは、結局仮説を立てた人の考えを超えてこない


マーケティングの世界でよく聞く「仮説検証」ですが、私はそれだけではダメだと思っています。

もちろんそれはそれで、必要なことに違いはないですが「なるほど、やはりそうだったか」とは思っても、結局その仮説を考えた人の想像を超えてこないというか、驚くような気付きを得ることがありません。

しかし、今回MONJUさんにクラスター分析をやってもらった結果、「顧客の中にこういう人がいたんだ!」とか「こういうものが求められていたんだ!」というような気付きがあり、じゃあその人たちにはどのようにアプローチすれば良いかという議論に繋げることができました。それに対してMONJUさんからは、「こういう考えがあるので、一度やってみましょうか」というように、常にチャレンジングな意見を頂けるので、チーム内でもとても有意義な取り組みができています。

MONJUと伴走することのメリット


MONJUの担当者さんと話をすると、よく「違和感を感じる」というワードを耳にします。顧客データをMONJUのシステムで解析すると、必ずどこかに違和感を感じるポイントが出てくるそうなんです。

その違和感を確かめるためにチームのみんなで話し合うのですが、第三者であるMONJUさんの感じる違和感の意味を探っていくことで、自分たちだけでは気付かなかった新たなヒントを得ることがあり、それが我々の求める成果に繋がっていくんです。

MONJUさんとご一緒することのメリットの一つとして「自分たちだけでは足りていない考察を、外部の目を通してアシストしてもらえること」があります。

またMONJUさんからの刺激を受けることで、社内メンバーのスキルの底上げにも繋がっています。いずれはクラスター分析の結果を見て、それをどう考えれば良いのかというような答えを、自発的に考えていけるチーム作りがしたいと思っていますので、社員の意識改革を促すような伴走も期待しています。

 

善し悪しから好き嫌いへ、消費者のニーズを正しく理解する


日本国内だけでなく、中国やインドなどアジア各国でも消費者の嗜好は成熟してきていますので、良いものを作っていれば自ずと売れるという時代は終わりました。消費者のニーズも多様化し、「善し悪し」で選ぶのではなく、「好き嫌い」で選ぶようになりました。

もちろん文房具も同じです。もはや「国誉の製品は質が良い」だけではダメだということを自覚し、既存のビジネスモデルを見直すべき時期に来ています。

そのためには、今後どのような人が、どんな製品が求めていて、どのように購入したいのかを正確に知る必要があります。それを把握できれば、消費者に求められている製品を開発し、正しいルートで販売することができるのです。

そのようにして我々が海外のマーケットで得た知見や成功体験を、国内にフィードバックしていければ良いと考えています。将来の成長のために、今やるべきことはたくさんありますので、MONJUさんにはこれからも良きパートナーとして、我々と伴走してくれることを期待しています。

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